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2016年03月13日

チベットを越えネパールへ

2016年夏お勧め! 可憐な高山植物トレッキング  こちら


ヒマラヤ専門ガイドの浅原です!

目指せ!カトマンズ  チベットを越えて・・
靄がかかり薄暗い中、ホテルの送迎車に乗って、成都の空港にやってきた。

チベットを越えネパールへ
ネパールへ向かうツーリストとで機内は満席

何処へ向かう旅行者だろうか? 観光客でごったがえす空港ターミナル。搭乗まで時間の余裕があるので、免税店を覗くことにした・・・

チベットを越えネパールへ
狭い機内をかき分けてやっと自分の席にたどり着く

日本の免税店では販売されていない、この地らしい商品が売られていた。
それは・・・「冬虫夏草」 珍重される漢方薬だ。

チベットを越えネパールへ
チベットの装身具が鍵付きショーケースに入っていた

チベットを越えネパールへ
曼荼羅、経典が収められているマニ車

ネパールの山岳民族もある時期になると、村人総出で冬虫夏草を取りに出かける。
地面に顔をこすりつけながら、冬虫夏草が動く一瞬をひたすらじっと待って探す。


冬虫夏草は・・・
地面の中にいる昆虫に寄生するキノコ。
芋虫の様な幼虫のしっぽに寄生したキノコが成長し、地面からわずかに顔を出す。
幼虫が動く時に地面に出ているキノコの部分も僅かに動くのである。
その一瞬を彼らは見逃さない。
大切に地面を掘り、形が壊れないよう上手に地面から引き抜くのだ。

ヒマラヤで採れた冬虫夏草も中国人商人によって買われ、中国国内へ輸出されていると聞く。
もしかしたらネパール産の冬虫夏草もあるのかもしれない。


ちなみに、冬虫夏草の採取時期にトレッキングすると・・・
トレッカーは大変苦労する。
ロッジには誰一人とも居ないことが多いのだ。

夜が明ける前からカギをかけて出かけてしまい、陽が沈んであたりが暗くなってから彼らが帰ってくるからだ。
それまではロッジに入ることができないのだ。

トレッキングのオフシーズンに行われる冬虫夏草の採取。
いつ来るかわからない外国人登山者を待つよりも、確実に現金を稼げる方を彼らは選ぶ。

チベットを越えネパールへ
フライトの必需品 耳栓 これで騒音と気圧の変化で耳が痛くなりにくい


幾重に連なる5000m級の山々。頂上付近に雪が被る6000m級の山々。氷河を抱き、鋭く天を突きさすように聳える7000m以上の山々とチベット高原に向けて山が高くなっていく。

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成都を飛び立ち5分もすると6000m級の山が聳えている

機内サービスを受けながら機窓から見下ろす風景にただただ見入ってしまう。

チベットを越えネパールへ
造山運動でできた5000m級の山々

チベットを越えネパールへ
横断山脈の峰々は綺麗な『大地のしわ』となっている

険しく刻まれた峰々が無くなり、緩やかな丘のように変わり始めると、そこはチベット高原に入ったことになる。
平均高度が4500m。日本の国土の4倍以上の大きさの大地が延々と広がっているのだ。

チベットを越えネパールへ
キチュ川の河原に作られたラサ空港が見えた

目を凝らしてじっと見ていると、大地の中にポツンポツンとマッチ箱のような形をした人家がある。
そのすぐ傍にはどこから延びてきているのだろう?

草原を真っ二つに分けるように延びる道路があり、チベットの風景には異様に感じてしまう。
エメラルド色をした湖がいくつも点在。チベット大地に宝石が転がっているように思えた。

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中国とネパールの国境に聳えるひときわ高いヒマラヤの峰々

チベットを越えネパールへ
スモッグの向こうにネパールの街が見えてきた


チベット自治区の中心地ラサ。歴代のダライラマ法王が眠るポタラ宮を中心に街が広がっている。
飛行機は次第に高度を下げ、キチュ河の河原にできたラサ空港に向かって機首を下げていく。
ここで中国の出国手続きを行うのだ。

政治的背景から外国人ツーリストの入域を厳しく制限しているチベット。
トランジットのためにこの空港に立ち寄っただけだが、当局の厳しい監視下の下、緊張した中で手続きが進められる。

この地にやってくると、かつてパキスタンの北のはずれ(フンジュラブ峠)を越え、パミール高原の裾を巻くようにして新疆ウイグル自治区に入り、チベット最大の聖地であるカイラスを目指したことを強烈に思い出す。


ネパールで暮らしている時、夏のオフシーズンを利用して、ヒマラヤ山脈一周の旅をした。
今と違い情報は旅行者が書き記した『情報ノート』と呼ばれるものだけ。
西からやってくる旅行者と情報を交換し、次の目的地に進むのが旅のスタイルだった。

新疆ウイグル自治区からは悪路が続き、車の数が極端に減るためチベットに向かう郵便トラックをヒッチハイクすることからスタート。
ヒッチハイクと言っても、無料ではない。いくらかのお金をドライバーに払って乗せてもらうのがチベットのヒッチハイク。

思い通りに車が見つかり、進んでくれればいいが・・・
なにしろメンテナンスがされていない車なので、パンクやオーバーヒートは当たり前。
おまけにでこぼこ道が1200㎞続く。


高山病とも戦った。タクラマカン砂漠の淵から、一気に4000m以上の標高へ。
トラックの荷台にただ座っているだけでも頭がガンガンしてくる。
その横でチベット人たちは私が痛みもがいている姿を見て笑う。

無事カイラス山を巡礼者と一緒に廻り、州都ラサを目指した。
ラサに向かうトラックが簡単にみつかり、安堵の気持ちでヒッチハイクができたら・・・
果てしなく続くチベット高原のど真ん中で、シャフトが折れて立ち往生。

チベット人ドライバーは部品を取りに行く?・・・・たぶんそのように言っていた。
お前が車を見張ってくれ・・・たぶんそのように言っていた。

彼らの主食であるツァンパとマッチを渡され、ドライバーが帰ってくるのを待つことに。
はじめは2日程度で帰ってくると思っていたが・・・
いっこうに帰ってくる気配もない。時々遥か向こうに砂煙を上げて東に向かうトラックが通り過ぎていく・・・


毎食味気の無いツァンパを無理や喉に押し込み、飢えを凌ぐ。
携帯していた缶詰を開け、貴重なたんぱく質を取った。

チベットでは真夏でも雪が降る。
雨や雪が降れば、トラックの下に潜り込んでひたすら止むのを待つだけである。

雨が上がれば真っ青な空が広がり強い日差しが戻ってくる。
南に目を向けるとヒマラヤが一列になって地平線まで続いている。
あのヒマラヤを越えればネパールに入れるのだが・・・・


諦めかけていた10日目、一台のトラックがこちらにやってきた。
ドライバーが部品を運んできて、みんなで修理を行う。
修理が終われば何もなかったように、延々と続く草地の道をラサに向かって走り続けた。


強烈な記憶が残るチベット。
ちなみに、現在はさらに当局の取り締まりが厳しくなり、個人旅行ができなくなっている。




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Posted by ヒマラヤ専門ガイド 浅原 明男 at 08:16│Comments(0)2016 春 トレッキング
 
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