2017年06月02日
ヒマラヤの厳しい環境で適応する可憐な妖精
ヒマラヤ専門ガイドの浅原です。
3月から続いていた春のエベレスト登山シーズンが終わり、数々のドラマだけを残して、一斉に登山客はヒマラヤを去っていきました。
そして、この地に棲む神々と野生動物が暮らす本来の姿に戻り、静寂な世界が広がっています。
これから数か月にわたり、インド洋からもたらされるモンスーンの影響で、ヒマラヤは一気に夏に向かって彩を増し、新たな素顔を見せてくれます。
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標高4000m以上では、あちこちに天空のお花畑が現れ、いろんな色をした妖精が美を競って、最もヒマラヤが輝く時期になります。
雲よりも高い場所に出現するお花畑の頭上には、澄み切った蒼空をバックに純白な雪をたくさん被るヒマラヤが見えることもあります。
この時期は秋よりもはっきりと色が出る素敵な写真が撮れます。
ヒマラヤの妖精は標高4000mを超える厳しい環境に適応できるよう、独自な変化してきました。
強い風から体を守るように個体を極端に小さくしたり、綿毛をまとって体を温めたり、空気中の霧から上手に水分を得たり・・・
妖精たちが環境に対して上手に適応する姿に驚くばかりです。
① 矮小化する妖精
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リンドウ科 ゲンティアナ・オルナタ
・高地による乾燥や凍結をもたらす強風から身を守る。
・地下に蓄えられた太陽の余熱を吸収しやすい
・草食動物の食害を受けにくい。
※ 最も一般的にみられる適応スタイル
② ロゼッタ葉を持つ妖精
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リンドウ科 スェルティア・ムルティカウリス
・地表に広がる葉(ロゼッタ)によって、吹き抜ける風を避ける。
・太陽光を最大限に吸収できる。
・ロゼッタ葉の大きさにより他の植生が近づけず、少ない水分を得る
③ マット状になる妖精
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サクラソウ科 プリムラ・プリムリナ
・寒風にさらされる植物体の面積が小さくなる。
・散生する植生より、目立って昆虫の目を引きやすい。
④ 太くて長い主根を持つ妖精
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ケシ科 メコノプシス・ホリュドゥラ
・不安定な礫地でもしっかりと植物体を固定できる
・地下深くに滞留する水分を得ることができる。
※結実後に、株全体が枯れてしまう1回結実性のものが多い
※礫地岩の割れ目等で見られる種
⑤ 走出枝を延ばして株を作る妖精
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ユキノシタ科 サキシフラガ・ブルノニス
・走出枝を延ばし、栄養繁殖を行う
・崩壊しやすい場所でも走出枝を張り巡らせて、株が作れる
※不安定な斜面等で見られる種
⑥ 太くて中空の花茎を持つ妖精
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キク科 サウスレア・トリダクティラ (綿毛をまとう)
・自らの呼吸作用によって発生した熱を内部にためる。
・太陽の余熱を茎内にためる
⑦ 地中深くに芽を持つ妖精
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タデ科 ビストルタ・マクロフィラ
・冷たい風や乾燥から植物体の芽が保護できる
・食害を受けても、地下から再度芽を出すことができる
⑧ 密生する長い毛をもつ妖精
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ゴマノハグサ科 ペディクラリス・トリコグロッサ
・寒さや乾燥、紫外線から植物体を守ることができる。
・空中に漂う霧から水分を集めて露にして潤す。
⑨ 綿毛をまとう妖精
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キク科 ワタゲトウヒレン
・綿毛をつけることで、温かい空気を滞留させる。
・空気中の霧から露を作って潤している。
・温室効果により虫の休憩場所となり、受粉が起こりやすい。
⑩ パラボラ状の妖精
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バラ科 ポテンティラ・アルギロフィラ・アトロサンギネア
・太陽に向かって開くことで、反射した熱で花の中心を温める
・受粉を手助けする虫の目を強く引き付ける
※ ヒマラヤ植物大図鑑を参考
ヒマラヤトレッキング・登山専門店 サパナ
3月から続いていた春のエベレスト登山シーズンが終わり、数々のドラマだけを残して、一斉に登山客はヒマラヤを去っていきました。
そして、この地に棲む神々と野生動物が暮らす本来の姿に戻り、静寂な世界が広がっています。
これから数か月にわたり、インド洋からもたらされるモンスーンの影響で、ヒマラヤは一気に夏に向かって彩を増し、新たな素顔を見せてくれます。
標高4000m以上では、あちこちに天空のお花畑が現れ、いろんな色をした妖精が美を競って、最もヒマラヤが輝く時期になります。
雲よりも高い場所に出現するお花畑の頭上には、澄み切った蒼空をバックに純白な雪をたくさん被るヒマラヤが見えることもあります。
この時期は秋よりもはっきりと色が出る素敵な写真が撮れます。
ヒマラヤの妖精は標高4000mを超える厳しい環境に適応できるよう、独自な変化してきました。
強い風から体を守るように個体を極端に小さくしたり、綿毛をまとって体を温めたり、空気中の霧から上手に水分を得たり・・・
妖精たちが環境に対して上手に適応する姿に驚くばかりです。
① 矮小化する妖精
リンドウ科 ゲンティアナ・オルナタ
・高地による乾燥や凍結をもたらす強風から身を守る。
・地下に蓄えられた太陽の余熱を吸収しやすい
・草食動物の食害を受けにくい。
※ 最も一般的にみられる適応スタイル
② ロゼッタ葉を持つ妖精
リンドウ科 スェルティア・ムルティカウリス
・地表に広がる葉(ロゼッタ)によって、吹き抜ける風を避ける。
・太陽光を最大限に吸収できる。
・ロゼッタ葉の大きさにより他の植生が近づけず、少ない水分を得る
③ マット状になる妖精
サクラソウ科 プリムラ・プリムリナ
・寒風にさらされる植物体の面積が小さくなる。
・散生する植生より、目立って昆虫の目を引きやすい。
④ 太くて長い主根を持つ妖精
ケシ科 メコノプシス・ホリュドゥラ
・不安定な礫地でもしっかりと植物体を固定できる
・地下深くに滞留する水分を得ることができる。
※結実後に、株全体が枯れてしまう1回結実性のものが多い
※礫地岩の割れ目等で見られる種
⑤ 走出枝を延ばして株を作る妖精
ユキノシタ科 サキシフラガ・ブルノニス
・走出枝を延ばし、栄養繁殖を行う
・崩壊しやすい場所でも走出枝を張り巡らせて、株が作れる
※不安定な斜面等で見られる種
⑥ 太くて中空の花茎を持つ妖精
キク科 サウスレア・トリダクティラ (綿毛をまとう)
・自らの呼吸作用によって発生した熱を内部にためる。
・太陽の余熱を茎内にためる
⑦ 地中深くに芽を持つ妖精
タデ科 ビストルタ・マクロフィラ
・冷たい風や乾燥から植物体の芽が保護できる
・食害を受けても、地下から再度芽を出すことができる
⑧ 密生する長い毛をもつ妖精
ゴマノハグサ科 ペディクラリス・トリコグロッサ
・寒さや乾燥、紫外線から植物体を守ることができる。
・空中に漂う霧から水分を集めて露にして潤す。
⑨ 綿毛をまとう妖精
キク科 ワタゲトウヒレン
・綿毛をつけることで、温かい空気を滞留させる。
・空気中の霧から露を作って潤している。
・温室効果により虫の休憩場所となり、受粉が起こりやすい。
⑩ パラボラ状の妖精
バラ科 ポテンティラ・アルギロフィラ・アトロサンギネア
・太陽に向かって開くことで、反射した熱で花の中心を温める
・受粉を手助けする虫の目を強く引き付ける
※ ヒマラヤ植物大図鑑を参考
7月~8月にかけて美を競う可憐な妖精
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ヒマラヤトレッキング・登山専門店 サパナ